シノニム:-
夏秋兼用品種(夏果は少ない)
果実の大きさ:夏果100g 秋果60~70g
果皮:夏 帯緑紫色 秋 帯赤紫色
果肉:鮮紅
肉質:やや粗
耐寒性ゾーン:7A-10B(-17.7~4.4度)(北海道南部~沖縄より北)
原産地:日本(来歴は、中国・ポルトガルからの2説)
早生日本種(日本種)・蓬莱柿は、日本で最も古く、乾燥、樹勢、耐寒性も強く作りやすい品種である為、桝井ドーフィンの次に多く植えられて全国で栽培されています。
桝井ドーフィンなどと比べると色付きが浅く、あまり朱色にならないので「白イチジク」などとも呼ばれることもあいます。
特徴・味・耐寒性
- 果実は、夏果100g 秋果60~70gの中程度の大きさで、果皮は夏果が帯緑紫色・秋果が帯赤紫色で、果肉は鮮紅です。
- 味は、やや軟らかく、甘味は中程度で酸味がやや多く、食味は中ぐらいですが樹熟した完熟果は独特の風味があり好まれています。
- 耐寒性:強 耐寒性ゾーン:7A-10B(-17.7~4.4度)(北海道南部~沖縄より北)
歴史
わが国原産か渡来品種か不明ですが、蓬莱柿(ほうらいし)の歴史は古く、貝原益軒によると寛永年間(1624~1644)にポルトガル人によって中国あるいは南洋から輸入されたことが記されている。
外国の柿のような果実ということから「蓬莱柿」や「南蛮柿(なんばんがき)」「唐柿(とうがき)」などと呼ばれていました。
それ以来日本でも西日本を中心に定着し、長く栽培されてきた事から、明治時代にアメリカから導入された桝井ドーフィン種と区別する意味でこの蓬莱柿の事を在来種として「日本いちじく」と呼んだりします。
Jolly Tiger(ジョリータイガー)
蓬莱柿(ほうらいし)というイチジクの斑入り品種が海外に行き、『ジョリータイガーという名前が付いたと言われています。桝井ドーフィンの枝変わり品種であり、徳島県で発見されたと言う説もあり定かではありません。
葉の形からすると、3裂片葉が多い蓬莱市より桝井ドーフィン説が有力だと思いますが、果実からの情報がないので不明です。
栽培方法 仕立て
【植え付け・仕立て】
- 植え付け時期は12~3月頃がベストですが、寒い地域では凍害を防ぐため、春に植え付けるのがよいでしょう。
- 根が浅く広がるので、深植えにならないように注意します。
- 一般的にイチジクは、一文字仕立てまたは開心自然形が良いとされますが、蓬莱柿は、樹勢が強いため、盃状形仕立が良いとされますが、一文字仕立てでも高い収穫量を上げている研究結果もありますので、家庭菜園では庭の広さを考慮して仕立てを考えても良いと思います。
- 1年目は収穫は考えず、土台となる樹の骨格を作ることを目的とします。
- 葉が大きいので強風に弱い性質があるため、風があまり当たらない場所を選びます。
- 植え付け時に苗木を高さ50cm程度のところで切り戻し、そこから発生する新梢を自分の作りたい樹姿に必要な数だけ発生させます。その年の落葉後に、伸ばした各枝をさらに30cm程度の長さで切り戻して、結実準備が完了です。
【盃状形仕立】
イチジクを栽培する際に用いられる樹形の一つで、中心部を空けて枝を外側に向かって広げる形です。ワイングラスのような形状をしており、蓬莱柿などの秋果に適しています。
盃状形仕立てのメリット!
- 中心部に光と風が通りやすくなるため、果実の均一な成熟を促し、病害虫を低減できる。
- 樹勢を強くでき、収穫量が多く見込まれる。
- 風害や凍害を受けにくい。
デメリット!
- 主枝や結果枝の方向が不定形であるため、防除や収穫などの作業に手間がかかる。
【開心自然形】
開心自然形は若木のうちから主枝を3本決め、60度の角度になるように斜め上に枝を伸ばします。 樹高が高くなりにくく、管理しやすい樹形です。新梢が多く出るため、「新梢管理」による樹勢のコントロールが最も行いやすい樹形です。 結果枝も多いため、管理次第で多収につながります。
特に向いている品種
- 夏果専用品種(コナドリア、サンペドロホワイト、ビオレ ドーフィン)
- 樹勢が強い品種(ビオレソリエス、早生日本種、イスラエル、カリフォルニア・ブラック、ノルドランド等)
- 樹勢が弱すぎる品種(セレスト、ショートブリッジ、ブラウンターキー等)
【一文字整枝】
主枝となる2本の枝を「一文字」に伸ばした仕立て方!
- 1年目は斜め45度にY字に伸ばし、十分に枝が硬化したら曲げたいところにノコギリで下半分を切り曲げれるようにして、水平に誘引する。
- 水平に這わせた誘引線(またはパイプ)に成長に合わせてこまめに誘引する
- メリットは、直線的に移動しながら作業ができる効率の良さ。
- デメリットは、主枝は上面が凍害の被害を受けやすいため、とくに晩霜害の多発地帯では防寒措置が必須。
向いている品種
キング・桝井ドーフィン・ネグローネ・姫蓬莱・バナーネ、ブルンスウィック、カドタ、アーテナ等
【土壌・肥料・水やり】
- 日当たりの良い、水はけの良い用土に植え、特に植えてから最初の1年は、定期的に木に水を与えてください。通常定植2年目くらいから実をつけ始めます。
- 発芽期の3~4月、特に乾燥する7~8月、9月上中旬は、土の乾き具合を見て5日に1回程度は水やりすると枝が良く伸び、実が甘くなります。
(※鉢植えでは、4~10月は1日1回、ただし夏には2回行う。冬は7~10日に1回行う。) - イチジクはあまり土を選ばないと言いますが、一般的に有機物が豊富で、わずかにアルカリ性で排水と通気の良い土壌が理想的です。
- 酸性土壌を嫌うのでPH7.0を目標に、冬に苦土石灰などをまいてで調整します。
- 肥料は5月はじめ【N/P/K=13/10/13の肥料(1~3年150g・ 4~6年450g )】と12月~1月に、有機配合肥料と苦土石灰を1㎡当たり150g施します。
(※鉢植えでは、植え付け1年目は5~10月まで1~2個。または緩効性化成肥料10~20gを2回。2年目以降は冬に油かすを50g、4~10月には毎月、化成肥料を5g程度施す。) - 果実は1枝に8~10個が適当です・実がたくさん付きすぎると栄養不足で成長しないので、早めに摘果します。
【有機配合肥料】
有機質肥料と無機質肥料が混ざっている肥料の事をいいます。 有機質肥料は緩効性肥料が多いですが、無機質肥料は即効性肥料が大半を占めます。 また、土を柔らかくするのが有機質肥料、徐々に固くなっていくのが無機質肥料です。
【害虫・病気・防寒対策】
- 必ずカミキリムシ(テッポウムシ)予防のために、カットサイドSまたは予防フィルムを、幹に塗るか、見つけ次第捕殺してください。
- 幼虫は幹に入りおがくずのような糞を外に出すので枝を切り落とすか穴に【スミチオン1000培液】または、【住友化学園芸 殺虫剤 園芸用キンチョールE カミキリムシ 幼虫 退治】などを注入して退治します。
- 日当たりと風通しをよくして、害虫や病気(さび病など)から木を守ります。
- 木の周りに防鳥網を設置するなどの鳥害対策、また果実に袋をかけて鳥や蟻から守ることも必要になります。
- 収穫は、果実が熟して木から落ちる直前が一番おいしいので、熟したものから順次摘み取ります。
- 耐寒性は強い方ですが、寒い地域では防寒対策が必要になります。
- 果実は降霜や降雪に遭遇すると果実が成熟しても果皮が硬くなり、食味が落ちるため、収穫時期は寒冷地では10月をめどに考えた方がよさそうです。
- 12月~2月に主要な枝は2、3芽を残して切り戻します。
剪定方法 秋果と夏果の収穫
イチジクは、秋果と夏果を収穫するための選定方法が異なります。一般的に秋果の方が糖度が高く美味しい果実が取れる為、秋果中心の選定方法になりますが、夏果の方が大きく違った魅力もあるので、好みでお試しください。
※多くの一般的な品種は夏秋兼用品種ですが、ビオレドーフィン・キングなどは、夏果しか収穫できない夏果専用品種ですので、剪定方法を間違えないようにご注意ください!
秋果を収穫する
前年の枝から伸びた新梢にはすべて結実するので、前年枝をすべて枝元から2~3芽残して切り戻します。
夏果を収穫する
夏果は前年に伸びた枝先のわき芽が越冬し、翌年春から肥大し6月下旬~7月上旬に成熟するものです。果実は前年枝の先端のほうにしかつかないので、先端部分を深く切り詰めると果実の収穫はできません。夏果を収穫するには、込み合った枝を間引く間引き剪定を主に行うようにし、徒長した枝は間引き、1m以上に伸びた枝は3分の1ほどに切り戻してコンパクトな樹形を維持します。
夏果と秋果を両方収穫する
枝の伸び具合や生長度合いを見て、間引き剪定と前年枝の切り戻し剪定を併せて行います。
水やり
イチジクの生産量第一位が、東ヨーロッパと西アジアにまたがるトルコで、次にエジプト、イランと続くので、乾燥した土壌に適しているように思われますが、それらの地域は、温暖ながら比較的降水量もあり肥沃な地帯なので、イチジクが乾燥に強いというわけでは決してありません。
逆に水は好む性質があるので、発芽期の3~4月、乾燥する7~8月には庭植えでも水遣りをすると枝が良く成長し、実が甘くなります。
特に日差しが強く乾燥しやすい夏場は、枯れることさえあるので、水はけのよすぎる土壌や、鉢での栽培では注意が必要です。
※ただし水はけが極端に悪い土壌では生育は著しく劣ります。
Xでの評判!
やはり、蓬莱柿が一番!
トロトロの完熟で濃厚な甘さ!