Smyrna Type (スミルナ種)とFig Wasp(イチジクコバチ)

Smyrna-Type

海外の品種を購入する際に、まれに日本では、イチジクコバチ(Blastophaga psenes)がいなくて結実できないスミルナ種 (Smyrna Type)が含まれていることがありますので、注意が必要です!

Smyrna Type (スミルナ種)

イチジクコバチ(Blastophaga psenes)による受粉が必要なSmyrna Typeのイチジクは、トルコ及び隣接する地域の原産、または栽培されている品種が多いようですが、主なものを上げておきます。

A Sangue:イタリア原産
緑または黄色の皮とさまざまな色合いの赤い果肉を持つイチジク。

Abate:イタリア原産
果皮は黄緑色で、果肉はバラ色、とても甘く種子は多めです。

Aboucherchaou:モロッコ原産
熟すと紫がかった黒色で、果肉はピンク色で、甘くて濃厚な味わいです。

Bardacik:ギリシャ原産
果皮は緑色で小さく果皮は薄く、成熟すると十字が確認されます。果肉は緋色で甘い。

Bursa Black:トルコのブルサ地方原産
世界で最も人気のあるイチジクの品種の 1 つであり、その甘くてジューシーな味わいと、深い紫色をした魅力的な外観で知られています。

Bursa Siyahi:トルコのブルサ地方原産
大ぶりで、皮は黒く、果肉は赤紫色をしています。甘みが強く、濃厚な味わいが特徴です。

Calimyrnaトルコのスミルナ地方原産
果実は緑色から黄色に熟し、大きさは中程度です。果肉は甘くて濃厚な味わいで、乾燥イチジクとしても人気があります。現在カリフォルニアで商業栽培されています。

Cara Lisa:イタリア原産
大きくて甘い果実で知られています。果皮は緑色で、果肉は赤色です。

DFIC 0023(Palmata):地中海原産
大きくて甘く、濃い紫色をしています。

Fico Pesca D’ Oro:カリフォルニア原産
果皮は黄緑色で、果肉は赤みがかった琥珀色で甘いです。

Gara Injir:トルコ原産
大きくて果肉が甘くてジューシーな黒イチジクです。

Goklop:トルコで栽培
大きさは中程度です。果肉は甘くて濃厚な味わいで、乾燥イチジクとしても人気があります。

Green Kalamata:ギリシャ
果実は80gと大きく、最高に甘く、風味豊かです。

Inchàrio:イタリアのカラブリア州原産
果実が大きく、果皮は紫色で、果肉は鮮やかな赤色をして、甘味が強く酸味は少ない。食感は柔らかく種が少ないのが特徴です。

Karayaprak:トルコ原産
果皮は黄緑色で、果肉は赤みがかった琥珀色で、とても甘い品種です。

Kimi Sika:ギリシャ原産
非常に甘く(パナシェの2倍近い甘さ)、ベリージャムの風味が強いです。

Marabout:フランス原産
果実は緑色で、大きさは中程度です。果肉は甘くて濃厚な味わいで、乾燥イチジクとしても人気があります。

Markopoulou(Markopoulou Mavra):ギリシャ原産
ギリシャのアッティカ半島にある小さな町、Markopoulou で栽培されています。その深い紫色をした果肉と独特の風味で知られています。

Meteorito:カリフォルニア原産 Thermalito近郊で発見
果皮は濃い紫色で、果肉は深紅で、シナモンチェリー ジェリーベリー キャンディーのような風味と粘稠度があります。

Morguz:トルコ原産
名前は、Aydin県の小さな村である“Morguz”に由来し、皮が薄く、緑がかった黄色をしており、イチジクの甘さに加えてほんのりとしたナッツの風味が特徴です。

Ohra Tabahanosika:ギリシャ原産
果皮は黄緑で薄く、果肉は深紅のベリー系の品種です。

Payves’ Bardajic:クロアチア原産
果実は黒紫色で、大きさは中程度です。果肉は甘くて濃厚な味わいで、乾燥イチジクとしても人気があります。

Sabz:イラン原産(トルコを含む西アジアで栽培)
果実は緑色で、大きさは中程度です。果肉は甘くて濃厚な味わいで、乾燥イチジクとしても人気があります。

Sarilop:イラン原産
緑色の果皮と赤い果肉が特徴です。果肉は柔らかく、甘味と酸味のバランスが良いのが特徴です。

SariZeybek:トルコ南東部のMardin県原産
果実が大きく、皮が薄く、甘みが強いのが特徴です。また、乾燥にもよく耐えるため、長期保存にも適しています。

Shirazi:イラン原産
名前はイランの都市“Shirazi(シーラーズ)”に由来し、緑色の皮と赤い果肉を持ち小さく、甘くてジューシーな味わいです。シーラーズ産のものが最高品質とされています。

Snowden:アメリカ P. W. Snowdenの庭で発見
果皮は黄緑色で、果肉は琥珀色で風味豊かで甘い。

Sultani (Aaron):エジプト原産
果皮は、紫がかった黒で、ほのかに赤みがあり、果肉は深紅で非常に甘くてジューシー。

Sultani (green):エジプト原産
イチジクは大きく、緑色で表面は光沢があり、果肉は明るいイチゴで品質が良いが、非常に裂けやすい。

Tiberio:カリフォルニア原産
ブラックミッションの実生苗と思われ、大きくて黒いイチジクで、甘くてジューシーです。

Ufak Yesil:トルコ原産
小ぶりで緑色のイチジクです。皮は薄く、果肉は甘くて柔らかいのが特徴です。

Unk Pastiliere:カリフォルニア原産
果皮は、薄い紫色で、果肉は深紅、チェリーの香りが少し強めですが、甘さは控えめです。

Vasilika Melissi:ギリシャのクレタ島原産
秋果は中型から大型で、皮は濃い紫色、果肉は琥珀色、蜂蜜のような甘い香りがします。

Vasilika Mavra:ギリシャのクレタ島原産
中程度の大きさ、果皮は深い紫色で、果肉は淡い黄色、甘くてジューシーでわずかな酸味があります。

Violette d’ Argenteuil:フランス原産
非常に大きく、灰色に近い淡い紫色で、果肉はピンク色で、とても甘いです。

Yediver:トルコ原産
平均重量45グラム。目は開いて、果皮は薄く黄色で、果肉は赤く甘くて芳香があります。

Yediveren:トルコの黒海沿岸地域原産
果実が大きく、皮が薄いのが特徴で甘みが強く、酸味が少ないため、とても食べやすいイチジクです。

Yesilguz:トルコ南東部のMardin地方原産
緑色の果皮と鮮やかな赤色の果肉を持つイチジクで、果実は大きく、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。

Zidi:チュニジア原産
果実は黒紫色で、大きさは中程度で、果肉は甘くて濃厚な味わいで、乾燥イチジクとしても人気があります。

日本では結実しないスミルナ種(Smyrna Type)

果物として食べられているイチジク(Ficus carica)には、カプリ種(Caprifig Type)、スミルナ種 (Smyrna Type)、 サンペドロ種 (San Pedro Type),、普通種 (Common Type) の4つのタイプがあり、 この中でカプリ種のみが、雄花で成熟した雄しべを産む唯一のイチジクで、他の3つのタイプは実質的には雌花だけの、いわゆる雌の木になります。

雌の木のなかで、日本では、イチジクコバチがいなくても実をつける、最も一般的なものが、夏秋兼用品種の普通種 (Common Type) 、夏果のみ実をつけるサンペドロ種 (San Pedro Type)が有名です。

スミルナ種(Smyrna Type)はイチジクコバチ(Blastophaga psenes)という昆虫によって、カプリ種の雄花から受粉されることによってのみ、その果実を成熟させることができるイチジクになるため、温暖な気候にしか適応できないイチジクコバチ (Blastophaga psenes)がいない日本では、実をつけることができません。

アメリカでは1880年に G.P.Rixford によって、カリフォルニアに初めてスミルナ種のイチジクが導入され、その後、1889年にイチジクコバチを産するカプリ種(Caprifig Type)のイチジクが導入されて、スミルナ種のイチジク栽培が始まったと言われています。 

イチジクコバチ(fig wasp)とは?

イチジク属(学名:Ficus)は、クワ科に含まれる属で、イチジク属植物は、イチジク、ガジュマル、ゴムの木など、世界中に約800種以上の種類があり、唯一の送粉者であるイチジクコバチとの間に、互いに利益がある「相利共生関係」があります。

イチジクの種類ごとに花粉を運ぶイチジクコバチの種類も決まっており、祖先種で獲得された1対1の共生関係を維持していて、果物として食べられているイチジク(Ficus carica)との共生関係があるイチジクコバチ(fig wasp)は、“Blastophaga psenes”と言う種類のイチジクコバチで、生息域が暖かい気候であるため、日本にはいません。

イチジクコバチは体長が約 2 ミリメートル前後の小さな昆虫です。体色は黒褐色で、長い触角と翅を持っています。雌は雄よりも大きく、産卵管を持っています。

イチジクコバチはイチジクの花に産卵します。イチジクの花は果実の中にあるため、イチジクコバチは果実の中に入って産卵する必要があります。イチジクコバチが果実の中に入ると、花粉を運んで他の花に受粉させます。

イチジクコバチの幼虫はイチジクの果実の中で孵化し、果実を食べて成長します。幼虫が成長すると、成虫になり、イチジクの果実から飛び出します。

イチジクコバチはイチジクの送粉に不可欠な役割を果たしています。イチジクコバチがいなければ、イチジクは結実できません。イチジクは世界中で栽培されている重要な果物であり、イチジクコバチはイチジクの生産に重要な役割を果たしています。

イチジクコバチ(fig wasp)の最も一般的な種類

  • イチジクコバチ (Blastophaga psenes)体長: 1~2mm: この種は、果物のイチジクのイチジクコバチとして一般的に知られています。地中海原産ですが、現在は世界中に分布しています。
  • イチジクコバチ (Ceratosolen arabicus): この種は、イチジクの最も一般的な送粉者です。南アフリカ原産ですが、現在は世界中に分布しています。
  • イチジクコバチ (Kradibia gestroi): この種は、イチジクの実を食べるイチジクコバチの一種です。インド原産ですが、現在は世界中に分布しています。
  • ペーストイチジクコバチ (Pleistodontes imperialis): この種は、イチジクを食べるイチジクコバチの一種です。オーストラリア原産ですが、現在は世界中に分布しています。

花粉を媒介する距離は平均88.6km、最高160km離れたイチジクへ!

ナンビアのイチジクコバチが、方向性花粉の伝送を媒介した!

ナンビアのナミビア砂漠にあるUgab川岸に群生するアフリカイチジクFicus sycomorusの地理的特性を明らかにするためにマイクロサテライトマーカーを用いて結実種子の配偶者選抜を行い,花粉の動きをマッピングした。認識できる個々の樹木で花粉の飛散により昆虫の動きを追跡したところ,風媒性昆虫イチジクコバチCeratosolen arabicusが160km以上も離れた樹木にまで移動し,花粉を媒介する距離は平均88.6kmであることがわかった。風媒性昆虫の優勢な動きは海にむかった西方で,夜間の季節風の方向と風媒性イチジクコバチの分散を反映していた。これらの結果から,地理的な影響の克服に適した広範囲な樹木の任意交配集団が存在することが示唆された。

普通種(Common Type)の人為的受粉Caprification (カプリ化)

有名な「Fig Varieties:Monograph 」 の著者【Ira J. Condit】は、1933年の 「 Fig Culture in California :カリフォルニアにおけるイチジク栽培」という論文の中で、 一般的なタイプのイチジクは、果実を成熟させるために人為的に受粉 ( Caprification)カプリ化を必要としません。 このタイプの品種には、ミッション、アドリアティック、カドタ、ターキーがあります。 かつて一般的なイチジクの花はカプリ化できないと考えられていたため、Eisen(アイゼン)によって ( mule flowers ) と言われてきましたが、G. P. Rixfordらは、カプリ化によっておそらくすべてのイチジクが成熟した種子を生み出すことができることを証明しました。

また、この論文の10~12ページで、カプリ化は、“熟した果実の外部および内部の両方の性質を大きく変化させます。”と記載しKadota、Missionなどの品種に関してその違いを述べています。

Smyrna Typeのイチジクは当然必要性がありますが、Common Typeの品種もカプリ化により品質を向上できるようです。

トルコなどイチジクコバチが生息する地域では、カプリフィグの果実をSmyrna Typeの木に吊るし、カプリフィグに生息するイチジクコバチ( Blastophaga psenes )を介してカプリフィグ内の花粉をSmyrna Typeのイチジクに移ことを数回繰り返すことによりCaprification (カプリ化)しています。

イチジク属植物とイチジクコバチの共生関係の仕組み

イチジク属とイチジクコバチの共生関係は、多くの場合は「1種対1種」

日本に分布するイチジク属植物とその送粉コバチについて、我々の研究では基本的に「1種対1種」の関係が厳密に維持されている。