シノニム: シノニム: Bourjassotte Noir, Bourjasotte Noire,Viollette de sollies, Figue de Solliés, Violet Of Sollies, Violette Soleis, Violette Sollies, Braçajote Preto,Parisienne,Brogiotto Nero?
秋果専用品種
果実の大きさ:50~80g
果皮:濃い紫
果肉:ダークな鮮紅色
耐寒性ゾーン:7B~(-14.9~-12.2度以南)(北海道南部一部、東北から関東の山間部)
来歴:桝井治氏がフランスから導入
Family: Bourjassotte Noir
原産地:フランス
桝井ドーフィンの生みの親で有名な“桝井農場”の桝井治氏がフランスから導入した品種で、栽培が非常に難しく収穫量が少ないことから「幻の黒いダイヤ」とも呼ばれる品種です。
特徴・味・耐寒性
- 果実は、50~80gの中くらいの大きさ、果皮は濃い紫色で扁平な形をしており、果肉は濃い赤色でベージュ色の粒が多数あり、目は小さく熟しても裂けにくいタイプです。
- 味は、肉質は緻密でしっかりしていて、ネットリとした舌触りでとても甘く、まるでイチゴジャムが詰まっているようにさえ感じられます。スイカやハニーデューメロン、イチゴなどの赤い果実の香りが感じられます。
- 耐寒性:耐寒性ゾーン:7B~(-14.9~-12.2度以南)(北海道南部一部、東北、関東の山間部)
- ビオレソリエスは、狩猟肉、豚肉、ウサギの肉、フォアグラ、サーモン、ハム、チーズ、ヨーグルト、カッテージ チーズとよく合います。ヨーロッパでは、生ハムのスライスで包んだり、ロックフォールでローストしたり、側面にバニラアイスクリームを添えてもろいタルトに焼いたりします。
ビオレソリエス(Viollette de sollies)は、「黒いブルハソット(Bourjassotte noire)」 又は「パリジェンヌ(Parisienne)」とも呼ばれ、イタリアでは「ブロジット・ネッロ(Brogiotto Nero)」と呼ばれています。(Wiki参照)
Bourjassotte(ブルハソット)は、地中海に面したスペインの町の名前で、はるか昔はイチジク栽培で知られていたことを想像させます。外側の黒紫の果皮とは対象的な鮮やかな赤色の果肉で、プロヴァンス地方では夏の風物詩となっています。
また、南フランスのプロバンス地方の、“ソリエス・ポン”を始めとする指定の村で収穫されたビオレソリエスは、「保護原産地呼称」であるAOPを与えられていることからも、原産地でいかに大切にされているかがうかがえます。
Figue de Solliès AOP(ソリエス産イチジク)
Figue Solliès AOPは、南フランスのプロバンス地方 Provence-Alpes-Cote d’Azur(プロバンス・コート・ダジュール)のVar(ヴァール県)にある村Solliès-Pont(ソリエス・ポン)を始めとする指定の村で収穫されたイチジクのみに与えられる名称です。
Var(ヴァール県)は、夏の暑さが厳しく、降雨量が少ない地中海の温暖な気候を生かし、フランスの生産の75%を占めるほどイチジクの栽培が盛んな地域です。
イチジク栽培に恵まれた土壌で霜による凍結もなく、雨も少ないため、果肉のぎっしり詰まったみずみずしい高品質なイチジクが育ちます。
Figue Solliès AOPは、果実の大きさ(直径40ミリ以上)、色合い、糖度などの果実の基準を満たした、ジューシーでベリーとチェリーの香りを満喫できる最高品質のイチジクです。
2006年にフランスの原産地保護名称であるAOCの認定に続き、2011年にはヨーロッパ全域のAOPに認定されました。
AOCとAOPとは?
L’Appellation d’origine contrôléeの略とAppellation D’origine Protégéeの略
AOCは、農産物や加工食品の原産地や、伝統的な食文化、その土地で古くから伝わる製法で製造されるなどの特徴を保証するもので、AOC製品は、その製品と「Terroi=local」(地域の風土、土壌、気候、歴史およびこれらの条件に適合するための人々が築き上げた規律などの特徴を持つ地理的地域)が密接に関連し、その地域以外では作ることができない製品を意味します。
メロンなどの果物や野菜、ワイン、チーズなどに張られたステッカーに小さく印字されている「保護原産地呼称」のこと!
(AOCは、制定対象がフランス国内のもで、AOPは、制定対象がヨーロッパ全域のものです。)
栽培方法 露地栽培 鉢植え ビオレソリエス
【植え付け・仕立て】
一般的には、イチジクの栽培は、露地栽培・鉢植えともに、一文字仕立てまたは開心自然形が良いとされますが、ビオレソリエスは特に着果が難しく、ブドウの仕立てによく用いられる、主枝を4本伸ばす「四文字仕立て」まはた「X仕立て」という手法で育てると実付きが良くなります。
また、オールバック仕立てという樹形も存在します。これは、主枝を地上高70~80cmで水平に誘引し、その基部から発生した新梢を2本誘引して3本主枝とする仕立て方です。
※資料 オールバック仕立て
家庭菜園では、“開心自然形”にして剪定は枝元の2芽を残して切り、施肥を少なくすると早い時期から実が付くようになります。
※栽培場所の広さ、収穫量などによって選んでください!
- 1年目は実が付きそうになっても摘果し、土台となる樹の骨格を作ることを一番に育ててください。
- 植え付け時に苗木を高さ50cm程度のところで切り戻し、そこから発生する新梢を自分の作りたい樹姿に必要な数だけ発生させます。その年の落葉後に、伸ばした各枝をさらに30cm程度の長さで切り戻して、結実準備が完了です。
【土壌・肥料・水やり】
- 地植えは、日当たりの良い、水はけの良い用土に植え、特に植えてから最初の1年は、定期的に木に水を与えてください。通常定植2~3年目くらいから実をつけ始めます。
※鉢植えも水はけのよい用土に植えて管理すると、翌年から実を付け始めます。 - 発芽期の3~4月、特に乾燥する7~8月、9月上中旬は、土の乾き具合を見て5日に1回程度は水やりすると枝が良く伸び、実が甘くなります。
(※鉢植えでは、4~10月は1日1回、ただし夏には2回行う。冬は7~10日に1回行う。) - イチジクはあまり土を選ばないと言いますが、一般的に有機物が豊富で、わずかにアルカリ性で排水と通気の良い土壌が理想的です。
- 酸性土壌を嫌うのでPH7.0を目標に、冬に苦土石灰などをまいてで調整します。
- 肥料は5月はじめ【N/P/K=13/10/13の肥料(1~3年150g・ 4~6年450g )】と12月~1月に、有機肥料と苦土石灰を施します。
(※鉢植えでは、植え付け1年目は5~10月まで1~2個。または緩効性化成肥料10~20gを2回。2年目以降は冬に油かすを50g、4~10月には毎月、化成肥料を5g程度施す。) - 果実は1枝に8~10個が適当です・実がたくさん付きすぎると栄養不足で成長しないので、早めに摘果します。
【有機肥料】と【化成肥料】
有機肥料とは、油粕や魚粉、鶏糞など、植物性または動物性の有機物(炭酸そのものを除く炭素を含む化合物)を原料にした肥料のことです。
これに対し、鉱物などの無機物を原料として、化学的方法により製造された肥料を化学肥料といいます。
有機肥料の特徴
・全体的に即効性は低く持続性が高い。
・利用することで土壌が改良されるメリットがある。
化成肥料の特徴
・全体的に即効性が高く、持続性は低い。
・微生物の影響を受けず、植物に吸収されやすい。
有機肥料・化学肥料と聞くと、生物由来の素材から作られている有機肥料のほうがいいと思いがちですが、有機肥料は即効性が低く持続性が高い、化学肥料は持続性が低く即効性が高いと、性質が異なりますのでどちらが良いというものではありません。使い分けが大切です。
【害虫・病気・防寒対策】
- 必ずカミキリムシ(テッポウムシ)予防のために、カットサイドSまたは予防フィルムを、幹に塗るか、見つけ次第捕殺してください。
- 幼虫は幹に入りおがくずのような糞を外に出すので枝を切り落とすか穴に【スミチオン1000培液】または、【住友化学園芸 殺虫剤 園芸用キンチョールE カミキリムシ 幼虫 退治】などを注入して退治します。
- 日当たりと風通しをよくして、害虫や病気(さび病など)から木を守ります。
- 木の周りに防鳥網を設置するなどの鳥害対策、また果実に袋をかけて鳥や蟻から守ることも必要になります。
- 収穫は、果実が熟して木から落ちる直前が一番おいしいので、熟したものから順次摘み取ります。
- 耐寒性は強い方ですが、東北から関東の山間部の地方以南以外では、防寒対策が必要になります。
- 果実は降霜や降雪に遭遇すると果実が成熟しても果皮が硬くなり、食味が落ちるため、収穫時期は寒冷地では10月をめどに考えた方がよさそうです。
- 実付きが悪い品種はあまり剪定しない方が実付きが良いのですが、ビオレソリエスは12月~2月に込み合った枝を間引きします。
【水やり】について
イチジクの生産量第一位が、東ヨーロッパと西アジアにまたがるトルコで、次にエジプト、イランと続くので、乾燥した土壌に適しているように思われますが、それらの地域は、温暖ながら比較的降水量もあり肥沃な地帯なので、イチジクが乾燥に強いというわけでは決してありません。
逆に水は好む性質があるので、発芽期の3~4月、乾燥する7~8月には庭植えでも水遣りをすると枝が良く成長し、実が甘くなります。
※鉢植えでも水はけのよい土と十分な水やりは、生育に大きく影響します。
特に日差しが強く乾燥しやすい夏場は、枯れることさえあるので、水はけのよすぎる土壌や、鉢での栽培では注意が必要です。
※ただし水はけが極端に悪い土壌では生育は著しく劣ります。
【開心自然形】
開心自然形は若木のうちから主枝を3本決め、60度の角度になるように斜め上に枝を伸ばします。 樹高が高くなりにくく、管理しやすい樹形です。新梢が多く出るため、「新梢管理」による樹勢のコントロールが最も行いやすい樹形です。 結果枝も多いため、管理次第で多収につながります。
特に向いている品種
- 夏果専用品種(コナドリア、キング、サンペドロホワイト、ビオレ ドーフィン)
- 樹勢が強い品種(ビオレソリエス、早生日本種、イスラエル、カリフォルニア・ブラック、ノルドランド等)
- 樹勢が弱すぎる品種(セレスト、ショートブリッジ、ブラウンターキー等)
※ビオレソリエスは特に着果が難しく、根域制限、環状剥皮などをおこなったり、あまり強く剪定しない方が実付きが良いようです。
【一文字整枝】
主枝となる2本の枝を「一文字」に伸ばした仕立て方!
- 1年目は斜め45度にY字に伸ばし、十分に枝が硬化したら曲げたいところにノコギリで下半分を切り曲げれるようにして、水平に誘引する。
- 水平に這わせた誘引線(またはパイプ)に成長に合わせてこまめに誘引する
- メリットは、直線的に移動しながら作業ができる効率の良さ。
- デメリットは、主枝は上面が凍害の被害を受けやすいため、とくに晩霜害の多発地帯では防寒措置が必須。
向いている品種
不向きな品種
- 夏果専用品種(ザ・キング、ビオレドーフィン)
※夏果専用品種は、前年の枝に着果する為、剪定で切り落としてしまうため。 - 樹勢が強い品種(ビオレソリエス、早生日本種、イスラエル、カリフォルニア・ブラック、ノルドランド等)
※樹の樹勢がおさまらないため。 - 樹勢が弱すぎる品種(セレスト、ショートブリッジ、ブラウンターキー等)
仕立て 「四文字仕立て」まはた「X仕立て」
ビオレソリエスは特に着果が難しく、ブドウの仕立てによく用いられる、主枝を4本伸ばす「四文字仕立て」まはた「X仕立て」という手法で育てられています。その手法により、1本の木から多くの実を収穫することが可能になっています。(佐渡島)
南フランスでは【開心自然形】のようですが?

いちじくテロです。本当に美味しいようですね!
ビオレソリエスの5000円のロールケーキ 石川TV
県内最大のイチジクの産地として知られる宝達志水町では、その栽培技術を生かして、いま、幻の黒いダイヤとも呼ばれる高級な黒イチジクの栽培が行われています。 11軒の農家で年間2.4トンとまだまだ少ないですが、去年は町で栽培したものに『黒蜜姫』という愛称をつけ、今年はその高級なイチジクを丸ごと7、8個使った1本5000円のロールケーキを予約販売するなど、新たな特産品として町をあげて普及に努めています。 その立役者が地元でイチジク部会長を務める松浦尚輝さん。約20年前に町で初めて栽培を始めたものの、苦労の連続だったといいます。 その松浦さんの思いと共に、黒イチジクの魅力を伝えます。 放送日:2021年11月13日
生産者が見分け方などを解説