サルタン(Sultane)イチジク

サルタン=Sultane

シノニム: Bellone bifère, Grosse de Juillet, Noire de Juillet, Sultani
夏秋兼用品種
果実の大きさ:夏果50~60g・秋果40〜50g
果皮:暗紫色~暗褐色
果肉:ピンク~濃い赤
耐寒性ゾーン:7B~(-14.9~-12.2度以南)(北海道南部一部、東北から関東の山間部)
原産国:チュニジア

フランス原産で、プロヴァンスで広く栽培されていて、世界的に評価の高い品種です。

  • 果実は、夏果50~60g・秋果40〜50gほどの大きさで、果皮は暗紫色~暗褐色で、果肉はピンク~濃い赤です。
  • 味は、樹上完熟させると糖度が22度にもなり、果肉はゼリー状で、甘みが強くフルーティーでねっとりとした食感を楽しめます。
  • 耐寒性:やや強 耐寒性ゾーン:7B~(-14.9~-12.2度以南)(北海道南部一部、東北から関東の山間部)
  • 涼しい気候でも豊産性に優れ、雨や病気に強い品種です。
  • 優れた食味が魅力で、生食はもちろん風味と甘さを活かして、ジャム、パン、クッキー、パイなどに利用するのもおすすめす。

何年も前に私が気に入っていたイチジクの 1 つです。残念ながら、その直後に木を枯らしてしまい、新しい木を植えるのに苦労しました。今は大きな地植えの木があります。正直言って、かなり過小評価されています。爽やかでイチジクらしい、フルーティーなベリーの香り。実りが多く、シーズン中期に収穫でき、雨に非常に強いです。フランスでは商業生産に使われるイチジクです。なぜこのイチジクが趣味の栽培者の間でもっと注目されないのかわかりません。

【Fig Databaseのシノニム】を見ると、【Sultaneのシノニム】と【Noire de Belloneのシノニム】に【Bellone bifère】があり、また【Noire de Belloneのシノニム】の中にも【Bellone】が含まれているので、

Sultane=Noire de Bellone=Belloneと思ってしまうのですが、違うようです!

Sultaneのシノニム【Fig Database
Bellone bifère, Grosse de Juillet, Noire de Juillet, Sultani

Noire de Belloneのシノニム【Fig Database
Antibes, Bellone, Bellona, Bellone bifère, Black Nice, Black of Nice, Ficus carica bellona Risso, Fig of Nice, Figue de Nice, Nice,Noire de Nice, Sultana, Sultane, Grosse de juillet,

Noire は **「黒い」**という意味で、Bellone「カロンブ村」 を指す地名です。Fig「イチジク」 を意味します。
この品種は、フランス南部のプロヴァンス地方にあるカロンブ村で栽培されている黒イチジクの品種です。

Noire de Belloneの中にSultaneが含まれる、
Noire de Bellone ≧Sultane と考えればいいのでしょうか?

また、Belloneについても、
Noire de Bellone ≧Belloneとなり、

以上のことから、SultaneとBelloneは、違う品種として扱われています。

【Fig Database】Noire de Belloneのページより

Sultaneは、Bellona (Noir de Nice)とは異なる品種で、誤ってBellone Unifereと呼ばれています。Sultaneは、Bellonaよりもはるかに丸い果実を持つBifera typeの品種です。Bellona (Noir de Nice)はUnifera typeで、成長が強く、果実がより細長く、形状はブラック ミッション/アルバコールまたはノワール ド カロムの果実とほぼ同じです。

Sultaneは、Bifera typeです。
Noire de Bellone(Bellona)は、Unifera typeです。
※Bifera type:夏秋兼用品種:夏果(breba)と秋果(main)が収穫出来る品種
※Unifera type:年に1回だけ秋果(main)をつけるタイプ

300種以上のイチジクを保有する南フランス【BAUD社おすすめの28品種の中でも【Sultane】と【Bellone】は、別品種として扱われています。

独特の風味(コク)に爽やかな酸味も加わったナイスな味!

こんな種類のイチジクに出会ってイチジクの魅力に惹かれた子です!

french fig farm: Sultane

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栽培方法 露地栽培 鉢植え サルタン

【植え付け・仕立て】

  • 一般的には、イチジクの栽培は、露地栽培・鉢植えともに、一文字仕立てまたは開心自然形が良いとされますが、“開心自然形”にして剪定は軽く、中・短果枝が出るようにし、施肥を少なくすると早い時期から実が付くようになります。
    ※栽培場所の広さ、収穫量などによって選んでください!
  • 1年目は実が付きそうになっても摘果し、土台となる樹の骨格を作ることを一番に育ててください。
  • 植え付け時に苗木を高さ50cm程度のところで切り戻し、そこから発生する新梢を自分の作りたい樹姿に必要な数だけ発生させます。その年の落葉後に、伸ばした各枝をさらに30cm程度の長さで切り戻して、結実準備が完了です。

【土壌・肥料・水やり】

  • 地植えは、日当たりの良い、水はけの良い用土に植え、特に植えてから最初の1年は、定期的に木に水を与えてください。通常定植2~3年目くらいから実をつけ始めます。
    ※鉢植えも水はけのよい用土に植えて管理すると、翌年から実を付け始めます。
  • 発芽期の3~4月、特に乾燥する7~8月、9月上中旬は、土の乾き具合を見て5日に1回程度は水やりすると枝が良く伸び、実が甘くなります。
    (※鉢植えでは、4~10月は1日1回、ただし夏には2回行う。冬は7~10日に1回行う。)
  • イチジクはあまり土を選ばないと言いますが、一般的に有機物が豊富で、わずかにアルカリ性で排水と通気の良い土壌が理想的です。
    酸性土壌を嫌うのでPH7.0を目標に、冬に苦土石灰などをまいてで調整します。
  • 肥料は5月はじめ【N/P/K=13/10/13の肥料(1~3年150g・ 4~6年450g )】と12月~1月に、有機配合肥料と苦土石灰を1㎡当たり150g施します。
    (※鉢植えでは、植え付け1年目は5~10月まで1~2個。または緩効性化成肥料10~20gを2回。2年目以降は冬に油かすを50g、4~10月には毎月、化成肥料を5g程度施す。)
  • 果実は1枝に8~10個が適当です・実がたくさん付きすぎると栄養不足で成長しないので、早めに摘果します。

【有機配合肥料】
有機質肥料と無機質肥料が混ざっている肥料の事をいいます。 有機質肥料は緩効性肥料が多いですが、無機質肥料は即効性肥料が大半を占めます。 また、土を柔らかくするのが有機質肥料、徐々に固くなっていくのが無機質肥料です。

【害虫・病気・防寒対策】

  • 必ずカミキリムシ(テッポウムシ)予防のために、カットサイドSまたは予防フィルムを、幹に塗るか、見つけ次第捕殺してください。
  • 幼虫は幹に入りおがくずのような糞を外に出すので枝を切り落とすか穴に【スミチオン1000培液】または、【住友化学園芸 殺虫剤 園芸用キンチョールE カミキリムシ 幼虫 退治】などを注入して退治します。
  • 日当たりと風通しをよくして、害虫や病気(さび病など)から木を守ります。
  • 木の周りに防鳥網を設置するなどの鳥害対策、また果実に袋をかけて鳥や蟻から守ることも必要になります。
  • 収穫は、果実が熟して木から落ちる直前が一番おいしいので、熟したものから順次摘み取ります。
  • 耐寒性は強い方ですが、東北から関東の山間部の地方以南以外では、防寒対策が必要になります。
  • 果実は降霜や降雪に遭遇すると果実が成熟しても果皮が硬くなり、食味が落ちるため、収穫時期は寒冷地では10月をめどに考えた方がよさそうです。
  • 実付きが悪い品種はあまり剪定しない方が実付きが良いのですが、サルタンは12月~2月に込み合った枝を間引きします(強剪定でも大丈夫だと思います)。

【水やり】について

イチジクの生産量第一位が、東ヨーロッパと西アジアにまたがるトルコで、次にエジプト、イランと続くので、乾燥した土壌に適しているように思われますが、それらの地域は、温暖ながら比較的降水量もあり肥沃な地帯なので、イチジクが乾燥に強いというわけでは決してありません。

逆に水は好む性質があるので、発芽期の3~4月、乾燥する7~8月には庭植えでも水遣りをすると枝が良く成長し、実が甘くなります。
※鉢植えでも水はけのよい土と十分な水やりは、生育に大きく影響します。

特に日差しが強く乾燥しやすい夏場は、枯れることさえあるので、水はけのよすぎる土壌や、鉢での栽培では注意が必要です。
※ただし水はけが極端に悪い土壌では生育は著しく劣ります。

【開心自然形】
開心自然形は若木のうちから主枝を3本決め、60度の角度になるように斜め上に枝を伸ばします。 樹高が高くなりにくく、管理しやすい樹形です。新梢が多く出るため、「新梢管理」による樹勢のコントロールが最も行いやすい樹形です。 結果枝も多いため、管理次第で多収につながります。

特に向いている品種

  • 夏果専用品種(コナドリア、キング、サンペドロホワイト、ビオレ ドーフィン)
  • 樹勢が強い品種(ビオレソリエス、早生日本種、イスラエル、カリフォルニア・ブラック、ノルドランド等)
  • 樹勢が弱すぎる品種(セレスト、ショートブリッジ、ブラウンターキー等)
    ※ビオレソリエスは特に着果が難しく、根域制限、環状剥皮などをおこなったり、あまり強く剪定しない方が実付きが良いようです。

【一文字整枝】

主枝となる2本の枝を「一文字」に伸ばした仕立て方!

  • 1年目は斜め45度にY字に伸ばし、十分に枝が硬化したら曲げたいところにノコギリで下半分を切り曲げれるようにして、水平に誘引する。
  • 水平に這わせた誘引線(またはパイプ)に成長に合わせてこまめに誘引する
  • メリットは、直線的に移動しながら作業ができる効率の良さ。
  • デメリットは、主枝は上面が凍害の被害を受けやすいため、とくに晩霜害の多発地帯では防寒措置が必須。

向いている品種

  • 桝井ドーフィン・ネグローネ・姫蓬莱・バナーネ、ブルンスウィック、カドタ、アーテナ
    ※ネグローネは、一文字整枝すると、収量は2.5倍以上になる。【吉岡国光園

不向きな品種

  • 夏果専用品種(ザ・キング、ビオレドーフィン)
    ※夏果専用品種は、前年の枝に着果する為、剪定で切り落としてしまうため。
  • 樹勢が強い品種(ビオレソリエス、早生日本種、イスラエル、カリフォルニア・ブラック、ノルドランド等)
    ※樹の樹勢がおさまらないため。
  • 樹勢が弱すぎる品種(セレスト、ショートブリッジ、ブラウンターキー等)

イチジク畑のサルタン